ノーウッド分類 —
全ステージを徹底解説
ノーウッド・ハミルトン分類を徹底解説。全7段階の意味、各段階のグラフト数目安、そして施術計画への活用法まで。
監修:Dr. Arslan Musbeh · 最終更新日 2026年2月1日
ノーウッド・ハミルトン分類を完全解説。全7段階の意味、各段階のグラフト数目安、そして執刀医がどのように施術計画に活用するかをまとめました。
ノーウッド分類とは?
ノーウッド・ハミルトン分類は、男性型脱毛症(AGA)の進行度を評価する標準的な分類システムです。1975年にDr. O'Tar Norwoodが(Dr. Hamiltonの先行研究をもとに)発表したもので、脱毛の進行をステージI(顕著な後退なし)からステージVII(頭皮の大部分に及ぶ広範な脱毛)まで7段階で表します。

この分類は植毛医療における世界共通の言語です。執刀医が「あなたはノーウッドIVです」と言うとき、それは国際的に認知された特定の脱毛パターンを意味しており、必要なグラフト数や適応、施術計画についてもある程度予測可能な指標となります。
ノーウッド分類 全7段階の解説
ステージI — 顕著な後退なし
生え際は成人の標準的な位置にあり、目立った後退は見られません。手術の適応にはなりません。現時点では治療の必要はなく、進行の有無を経過観察します。
ステージII — 側頭部のわずかな後退
側頭部にわずかな後退が見られます。生え際はやや後退しているものの、密度は保たれています。この段階ではミノキシジルやフィナステリドなどの薬物療法が標準的な第一選択となります。手術も可能ですが、通常この段階では適応となりません。
ステージIII — より明確な側頭部の後退
側頭部の後退がはっきりとし、M字、U字、V字型の生え際が形成されます。「ステージIIIバーテックス」では、これに頭頂部の薄毛化が加わります。患者様が最初のカウンセリングを希望される最も一般的な段階で、前頭部の回復には通常1,500〜2,500本のグラフトが必要です。
ステージIV — 生え際と頭頂部の両方に脱毛
生え際の後退が顕著になり、頭頂部の脱毛も進行しますが、両者の間には毛髪の橋(ブリッジ)が残っています。通常2,500〜3,500本のグラフトが必要で、多くの場合1回の施術で対応可能です。
ステージV — 脱毛部位の接近
前頭部と頭頂部の脱毛の間にある毛髪のブリッジが細くなり、薄毛の範囲が大きく広がります。通常3,000〜4,500本のグラフトが必要で、患者様によっては2回に分けての施術が望ましい場合もあります。
ステージVI — 広範囲の脱毛部の融合
前頭部と頭頂部の脱毛部が完全につながります。側頭部と後頭部にのみ毛髪の縁が残ります。4,000〜5,500本のグラフトが必要です。ドナー部の評価が特に重要で、採取可能な本数を慎重に計画する必要があります。
ステージVII — 広範な脱毛
後頭部と側頭部にのみ、馬蹄形の細い帯状の毛髪が残ります。最も対応が難しい段階で、必要な被覆面積に対してドナー部の供給が限られます。通常2〜3回に分けた段階的な施術が必要で、慎重な計画が不可欠です。
ノーウッド分類別 グラフト数の目安
| ステージ | 脱毛範囲 | 標準的なグラフト数の目安 | 施術回数 |
|---|---|---|---|
| II | 側頭部のわずかな後退 | 800〜1,500 | 1回 |
| III | 深い後退、頭頂部の初期変化 | 1,500〜2,500 | 1回 |
| IV | 生え際+顕著な頭頂部の脱毛 | 2,500〜3,500 | 1回 |
| V | 生え際と頭頂部が接近 | 3,000〜4,500 | 1〜2回 |
| VI | 広範囲の融合した脱毛部 | 4,000〜5,500 | 1〜2回 |
| VII | 広範囲 — 側頭部のみ残存 | 5,000〜6,500+ | 2〜3回 |
執刀医はノーウッド分類を施術計画にどう活用するか
ノーウッド分類は「今」の状態を示すものにすぎません。施術計画を左右するより重要な問いは、45歳、55歳になったときにどうなっているかです。

28歳でノーウッドIIIの方が、45歳までにノーウッドVIまで進行することもあります。この進行を考慮せずに28歳の時点の生え際をデザインしてしまうと、45歳になったときに不自然な仕上がりになります — 移植した前頭部の生え際の後ろで脱毛が進行し続けてしまうのです。
だからこそDr. Arslanは、すべてのカウンセリングに長期的な進行予測を組み込んでいます。家族歴、現在の脱毛の進行速度、ドナー部の特性、薬物療法への反応 — これらすべてを踏まえて10〜20年先までを見据えた予測を立てます。生え際のデザインとグラフトの配分計画は、今日の脱毛状態だけでなく、生涯を通じた脱毛パターンの見込みを反映したものになります。
今日の患者様だけを想定した生え際デザインは、将来の患者様には合わなくなります。私たちは55歳を見据えてデザインします。それが35歳の時点でも良く見えるなら、それはボーナスです。 — Dr. Arslan Musbeh
ルートヴィッヒ分類 — 女性の薄毛
ノーウッド分類は男性型脱毛症に用いられるものです。女性型脱毛症(FPHL)には、ルートヴィッヒ分類が用いられます。
- ルートヴィッヒI: 頭頂部の軽度の薄毛 — 生え際は保たれる
- ルートヴィッヒII: 顕著な薄毛化、頭頂部の分け目が広がる
- ルートヴィッヒIII: 頭頂部のほぼ完全な脱毛 — 生え際は保たれる
女性患者様の多くはルートヴィッヒI〜IIの段階でご相談にいらっしゃいます。FPHLではドナー部の毛髪もミニチュア化の影響を受けている場合があるため、適応を判断する前に両部位のトリコスコピー(毛髪鏡)検査が不可欠です。 女性の植毛について →
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よくある質問
ノーウッド分類とは何ですか?
ノーウッド分類(ハミルトン・ノーウッド分類)は、男性型脱毛症をステージI(軽度の後退)からステージVII(側頭部・後頭部のみ毛髪が残る最も進行した状態)まで評価する分類法です。植毛の施術計画における世界共通の臨床基準として用いられています。
自分のノーウッド分類には何本のグラフトが必要ですか?
ノーウッドII〜III期: 800〜2,500本。IV期: 2,500〜3,500本。V期: 3,000〜4,500本。VI〜VII期: 4,500〜7,000本以上(通常2回に分けて施術)。個人差が大きいため、カウンセリング時のトリコスコピー検査によって正確な本数が算出されます。
植毛はノーウッド分類のどの段階で受けるのが適切ですか?
ノーウッドIII期が最適な段階とされることが多く、脱毛の進行が確定しつつ計画を立てやすい状態であり、ドナー部の毛量も通常最大限に保たれているため、1回の施術で優れた結果が期待できます。それより早い段階ではまず薬物療法が適しており、より進行した段階では2回の施術が必要になることがあります。
ノーウッドVII期の患者でも植毛は可能ですか?
可能です。ただし通常2回の施術が必要となり、実現可能な密度について現実的な期待を持っていただく必要があります。頭皮のドナー部が限られる場合、ボディヘア植毛(髭・胸毛)で補うこともできます。カウンセリングでDr. Arslanが正直な評価をお伝えします。
参考文献・出典
- Norwood OT. Male pattern baldness: classification and incidence. Southern Medical Journal. 1975. https://doi.org/10.1097/00007611-197511000-00009
- Hamilton JB. Patterned loss of hair in man: types and incidence. Annals of the New York Academy of Sciences. 1951. https://doi.org/10.1111/j.1749-6632.1951.tb27729.x
- Sinclair R. Male pattern androgenetic alopecia. BMJ. 1998. https://doi.org/10.1136/bmj.317.7162.865
- Cranwell W, Sinclair R. Male Androgenetic Alopecia. Endotext — NCBI Bookshelf. 2023. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK278957/
- Piraccini BM, Alessandrini A. Androgenetic alopecia. Giornale Italiano di Dermatologia e Venereologia. 2014. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24566575/
- Gupta AK et al. Minoxidil: a comprehensive review. Journal of Dermatological Treatment. 2022. https://doi.org/10.1080/09546634.2020.1807246
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